2020年5月11日
福岡県知事
小川 洋 様
福岡県医療労働組合連合会
執行委員長 原 正勝
新型コロナウイルス感染症対策など、日夜、ご奮闘されていることに心から敬意を表します。
福岡県医療労働組合連合会は、県内27の公的医療機関、5の民間医療機関、その他血液センター、介護施設、診療所の労働組合で構成され、組合員は8,500人の連合会です。県内の医療・介護労働者の労働環境改善等のために要請行動などの活動を行っています。
さて、この間、福岡県でも新型コロナウイルス感染者が増え、緊急事態宣言が継続している中で、医労連加盟の病院でも指定病院問わず新型コロナウイルス感染患者を受け入れ、対応しています。こうした事態を受けて、私たちは加盟病院労組への新型コロナウイルス対策に関するアンケートを実施し集約しました。
回答をみると医療提供体制の変動があり、地域包括ケア病棟、HCUの閉鎖・一時閉鎖、予定の変更可能な手術の延期、健診の停止、救急病棟縮小により救急患者を一般病棟で受け入れるなど、従来の医療を変更して「コロナ専用病棟」を確保しています。
また、依然として不足するマスク・防護服、エプロン・ガウン、そして消毒液確保の不安が続いていることが記入されています。
これまでも医師・看護師をはじめとする医療・介護従事者が不足しており、各病院ではそれらの増員を求めてきました。貴職へも医労連として昨年10月に要請させていただきました。しかし、今回のようなパンデミックの予測はこれまでにもなされていたにも関わらず、国は人口減少等を見据えた地域医療構想により、診療報酬上は人員を抑制する方向にここ数年変わってきました。
そのため、病院現場は人員に余裕がなく、現状の限られた医療・介護従事体制で奮闘して乗り切る以外にない状況に追い込まれています。今、多くの激励や支援、そして県や医師会の対応により、ぎりぎりの状況で医療・看護・介護を継続しています。
今後の見通しをふまえ、県民と医療・介護従事者が新型コロナ感染症を克服していくために、以下の点を要望します。
(1) 全医療従事者・介護従事者に対する支援金の交付を、各従事者に行き渡るようご検討下さい。
すでに新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れた医療機関には、患者一人当たり30万円交付が決まっていますが、対象外の医療機関・介護施設においても、従事者は感染リスクを抱えながら日々業務に就いています。また、今般の感染症に関わる手当については、施設ごとに対応が異なる現状にありますため、交付方法についてもご検討をお願いします。
(2) 院内感染防止対策として、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている病院に限らず、医療従事者への検査は優先度が高いと考えられます。無症状の医療従事者に対する新型コロナウイルス検査を公費負担とするようにお願いします。
(3) 感染リスクに曝されて帰宅できない医療従事者には、一定水準の設備を備えた宿泊施設を整え保障すること、もしくは医療従事者がホテルを活用する場合、公的支援をお願いします。
(4) 新型コロナウイルス感染症に関わり、医療・介護従事者が、①患者・利用者より感染して(または疑い症状にて)療養した場合、②濃厚接触者・経過観察者となり休業した場合、③施設の体制縮小・休止等により休業した場合について、医療介護事業所が対象職員に対し平均賃金の100%が補償できるよう、助成をお願いします。
(5) 現在実施されている「小学校休業等対応助成金」については、事業所ごとの申請であり、また上限も定められています。医療従事者がやむなく休む場合の補償についても県の責任で休業支援をお願いします。補償がない場合には、年次有給休暇や欠勤であったりしますが、そのことを理由に退職する職員が出ることを防ぐうえでも必要だと考えます。(医療従事者確保対策として)
(6) 新型コロナウイルス感染拡大で、私たちの聞き取りでは、各病院で退職医療従事者への復帰の声掛けなどの努力をしていると聞いていますが、各病院の努力には限界があります。病床が確保され設備・機材などが保障されても、人の確保(専門職を確保して、医療現場で力を発揮していただくこと)は簡単には出来ません。新型コロナウイルス感染が長期に続くことを想定し、早めの医療従事者確保対策の具体化、その支援策策定をお願いします。
(7) 新型コロナウイルス感染症に対応する従業員へのメンタルサポートは必須な状況です。各医療機関でも対応しているところもありますが、すべての医療従事者が誰でも相談できる県としての窓口を開設いただくよう要望します。
また、一部に感染者に関わる医療従事者への偏見や差別的言動がありました。最近は改善され激励されることが多くなっていますが、引き続き一般社会への啓発活動を強化していただくようお願いします。風評被害への対策強化・相談窓口の設置もお願いします。
(8) アンケートの通り、依然としてマスク・防護服、エプロン・ガウン、消毒液などが不足しています。医療・介護従事者に必要な衛生材料確保のための支援をお願いします。
以 上